ツルの一声

2014年8月

◆一般常識を身につけろ!

 スイミング業界を見渡せば、「なんてこった!」と怒りたくなるようなキャンペーンがあった。他クラブの会員に「移って来るのは今ですよ~!」という「乗り換えキャンペーン」である。ずいぶん昔のことだが、九州の某クラブで同じことをやったことがある。確か入会金無料+指定用品プレゼントが入会特典だった。そして移籍してきた子供が使っていた以前のクラブの水着を玄関先に山積みし、「これだけ他クラブから移籍してきました」と自慢した。当然、そのクラブは近隣クラブと不協和音が生まれる。十数年前のことだが、その怨念は未だ近隣クラブが持ち続けている。同業者が、他クラブの足を引っ張るなんて辞めて欲しいものだが、意見を求めると誰もが「NO!」の返信メールを送ってきた。

 それにしても驚きのチラシだった! 8月下旬、新聞折り込みで「今月のキャンペーン」として「他クラブからの乗り換えキャンペーン」をやったクラブの体質だ。以前、白ナンバーのスクールバスにも拘らず「バス利用料〇〇〇円」とやったのを覚えている。それに続いてこのキャンペーンである。社員教育はどうなっているのだと言いたい気分だが、甘利にも業界のルールを知らな過ぎる。

 キャンペーン内容を紹介すると、「他のスイミングスクールから××に移籍して頂ける方は…なんと!初月月会費8100円が無料!!」とある。最近ではほとんど見かけなくなったが、同業者が掘り起こした会員を「タダだから移って来なさい!」というキャンペーンだ。この内容が仮にあり得るとしたら、転勤シーズンの年度末くらいだろう。特別に「他クラブからの乗り換え」を強調する必要が無いと思われるが、「入会策」がこの程度であれば経営は相当苦しいはずだ。「安い!・オトク!・プレゼント!」だけが集客ツールと考えていると、経営はいつか行き詰まる。取り組むべきは指導の質であり、指導者・クラブの信頼だろう。数件のクラブにこのキャンペーンの意見を聴いたところ、次のような意見が集まった。

「本質がズレていますね。入会策→金額による訴求となって本質をズラしています。また、競合との軋轢も生まれますよね。このようなやり方はフェアではありません。何の戦略のないキャンペーンでは効果は出ないことが理解できていないと思われます。」
「目先の利益だけを考えていると、結局、訴求力のないメッセージしか出てきませんよね。」「我々は同業者同士、価格でパイを奪い合うことのむなしさ、限界を知るべきですね。価値づくりでお互い切磋琢磨していくことで業界全体の発展、そして個々の企業の発展があると思います。」
「首都圏の激戦区のクラブで、クラブ支配人の会員確保の責任の重さからでしょうが、業界の社会的評価をさげるようで悲しくなります。引き抜くことで何が得たいのか?というと、企業利益が得たい。あるいは、個人に特化した満足、成果、承認が得たい…。どこかの携帯業界の政策を戦略なきままに活用!?なされたようですね。キャンペーンすることの目的・意図・意志がお客様の目線から離れているように思えて違和感を覚えました。」
「率直な感想として、きっとこのチラシを打ったクラブの皆さんは、仕事を楽しんでいないんだろうな~と感じました。発想が貧困ですよね。チラシ作りで大切なのは、スタッフを含め、目の前の会員さんたちが一番に共感してくれることだと思っています。クラブにとって一番の理解者である会員さんたちが興味を示さないようなチラシは、僕は作りたくないな~。」

 批判のオンパレードとなったが、こうした事例があればこそ、反面教師として社員の教育材料に使える。