ツルの一声

2015年1月

◆経済産業省の「品質評価・認証事業」の行方

 経済産業省が「健康運動サービス(疾病予防向けアクティブレジャー)の品質評価・認証事業」で動き出している。その概略は「SC協ニュース182号(1月発行)」でお知らせしてあるので、SC協加盟の皆さんはお分かり頂けるはずだ。

 簡単に言えば「国民の健康増進、医療費の削減、新産業の創出」だ。我がスイミング業界に直接関わりがあるのは「健康増進、医療費の削減」の部分で、具体的には委託された一般財団法人日本規格協会が「スポーツジム認証」を担当し、「国民の健康寿命延伸に資する疾病予防向けアクティブレジャーのサービス品質の見える化の仕組みを構築するため、品質評価・認証付与の基準や事業スキームを検討。本年度中に第三者機関として、品質認証付与を行う」というもの。つまり、認証することで健康保険組合に「指定された施設で病気にならない身体づくりを保険者にさせなさい」という施策なのだろう。

 当初発表された「スポーツジム認証制度」の対象には、「フィットネスクラブ」は含まれていたが「スイミングクラブ」の名称が無かった。しかし、SC協事務局の努力もあって1月8日(木)に大阪で行なわれたSC協理事会後の近畿支部会員との懇親会には、経済産業省及び日本規格協会から担当者が来て「スポーツジム認証制度」の説明を行うまでになった。しかもその説明資料には「スイミングクラブ」が明記されていたから、間違いなく「認証制度」はスイミングクラブも対象になったと言える。

 それではスイミングクラブが認証されるためには何が必要か? 配布された資料から抜き書きすれば、「運動の習慣化・継続性」「対応・感じの良さ」「運動の効果」「安全」の6項目だ。これが求められる「品質」だが、「サービス品質を確実に提供できる能力があることを、サービスの管理・運用の仕組みから評価する」としている。

 既に認証制度を実験している施設は全国に12ヶ所あり、その施設は2月には正式に認証されると言う。この認証を受けるには経済産業省の「健康運動サービスの品質評価・認証事業」で逐一情報を収集して対応する必要がある。

 スイミングクラブはこれまで50年、子供中心の事業で過ごしてきた。「少子化」「高齢化」が経営環境を変え、経済変動で幾度となく「経費削減」で切り抜けてきた過去がある。全盛を誇っていた昭和50年代と比べると、子供の会員数は大半が半分、3分の2に落ち込み、決して裕福な経営を続けているとは思えない。だからこそ、この機会に中高齢者の取り込みを真剣に考えなければならないが、果たして今回の「スポーツジム認証制度」を取得して、スイミングクラブの未来が切り拓かれるかと言えば、未知数なのだ。大阪で数人のクラブ代表者に話を聞いたところ、「どんな準備をすればよいのかがまだ分からない。情報を集めてからでないと…」と思案顔だった人が多かった。

「認証」を受けるには費用(30万円と噂されている)がかかるが、その費用を捻出できても、果たして中高年に「健康づくりの大切さ」が届くのか? 「健康投資」への啓もうが功を奏するのか? 経済産業省の発表ではフィットネスクラブ会員の30%が60才以上を占めると言う。「運動」と言えば常に「フィットネスクラブ」と結び付けてきたお役所だが、そろそろ「フィットネス・スイミングクラブ」の表現を意識的に使ってくれなければ、スイミング業界は益々中高年にシフトし難くなることを知ってほしいと思うのだが…。

 結論として、今回の施策は事業拡大のチャンスと見る。情報を集め、その対応を近隣クラブとも話し合い、業態変化の機会とすべきだろう。

体力健康新社・主幹 鶴谷道広