ツルの一声

2015年2月

◆視点を変えれば…新規掘り起こしは可能?

 久しぶりに経済産業省の「特定サービス産業動態調査」を覘いてみた。昨年12月時点の統計資料で、「フィットネスクラブ」は売上高前年同月比で1.2%のプラス、主な調査事項ではやはり前年同月比で「利用者数▲0.8%」「スクール利用者数▲7.2%」「会員数▲0.1%」とあった。業界全体としては余り良くない数字が並んでいるのだ。スイミングクラブ業界を調べるこうした調査は無いが、おそらく悪戦苦闘のクラブが多いのではないだろうか。

 昨年末の冬の短期教室、新年の入会キャンペーンの情報を集めても、それほど良い結果が出ているようには思われない。もっとも子どもを中心としたスイミングクラブは、年間の月別会員数の動向では4月から9月、10月までは増加傾向。それを過ぎると3月までは下降傾向がある。つまり年末から3月にかけては、入会者より退会者が多いのが一般的。そこで前月の数字を維持しようとすれば、何かしらのアクション(キャンペーン)を起こさなければならない。キャンペーンで入会者を取ろうとすれば費用がかかる。大半はその費用を回収できない程度の入会者獲得に終わるのが普通である。

 その理由の一つに「入会金無料」のキャンペーンがある。「入会金無料は絶対にやらない」というクラブもあるが、キャンペーンや体験会を年中やって「入会金無料」を特典に付けるクラブは圧倒的に多い。さすがに「月会費2ヶ月無料」は過去のものになりつつあるものの、各クラブの入会特典をチェックしていると「何ヶ月在籍すれば元が取れるの?」と思うのだ。

  スイミングは子どもたちの習い事の第1位。にもかかわらず入会が思うように取れない。思い切ってもっと付加価値を高める時間割を組んではどうだろうか?と言うのが今回の提案だ。スイミングクラブの時間割は、2時半頃から幼児、3時半頃から年中~小学生低学年、4時半頃から小学生全般、5時半頃から上級者、そして選手コースへとつなげるのが一般的だ。その時間に合わせるようにスクールバスで子どもたちを拾い、終われば送り届ける。

 こうした時間割で長い間指導をしてきたが、学童保育の存在を考えると、一つの光明が見えてくる。ほとんどの小学校に付設している学童保育クラブは5時で終わる。両親が共働きだからこそ子どもを学童保育に入れるが、その為に母親は子どもが学童保育の終わる時間に合わせてパートを終了しているのではないか? それならば学童保育終了時にスクールバスで子どもたちをスイミングへ連れて行くことを考えればよい。レッスンは5時半から6時半。さらに体操室を開放し、30分程度の遊びや学習の時間を提供する。レッスンが終わったからすぐに家へ送り届けるのではなく、母親がしっかり働ける環境をスイミングが用意すると考えると、もっとスイミングへ通える子どもを掘り起こせるのではないか、と思うのだ。

 実はこの手法、山形県のあるクラブが思いついた。一時、会社が苦しんでいたが、この手法で100名もの子供会員獲得ができて黒字に転じた。両親の働く環境は変わらないから、「学童保育」後にスイミング通いをした子どもは6年生まで在籍する。スイミングクラブは時間によって泳力重視でクラスを設けているが、一部のコースをそれ以外のコースにすることで、新しい子どもの掘り起こしにつながるのだ。親もしっかり仕事に打ち込める。これこそ「子育て支援」だろう。

 施設内の時間延長の費用、その子たちがどうやってスクールバスを利用するか? という難しい面はあるが、考える価値はありそうだ。

体力健康新社・主幹 鶴谷道広